2011/07/12

水いのちを宿す

「泉が僕をとどまらせたのかもしれない。
泉の水が僕の中に流れ、
僕を引き止めている。
泉が人々に故郷に戻るよう、
引き寄せているのだろう。」


舞台は、ベラルーシ共和国の小さな農村ブジシチェ村。深い森を抜けると、
静かで穏やかな人々の営みがある。
ここは、1986年に爆発事故を起こしたチェルノブイリ原子力発電所から、
北東に180キロ。政府によって移住勧告が出され、600人の住人のほとんどが村を去った。
残ったのは、55人の年寄りと1人の青年アレクセイだけ。村の名前は地図からも消し去られた。
あの日を境に、村のすべてが放射能に汚染されてしまった。長い年月人々が耕してきた大地も、
そこに育つジャガイモも、きのこが採れる森の中も…。
しかしそんなブジシチェ村の中心には、まるで奇跡のように、
放射能がまったく検出されない「泉」があった。
村人たちはこの泉を「百年の泉」と呼ぶ。大地に降り注いだ雨が地面に染み込み、
百年以上の歳月を経て再び地表に湧き出ているというのだ。
彼らは長い天秤棒を巧みに操り、この泉から水を汲み上げる。毎日まいにち…。
百年の泉は、水汲み場としてだけでなく、祈りをささげる場所として、
いつの日も村人たちの心のよりどころとなってきた。

本橋成一監督作品「アレクセイと泉」パンフレットより



そしてまた故郷を奪われてしまった飯館村を始めとする福島の村々。。。
フォトジャーナリスト森住卓氏によるレポート。
http://mphoto.sblo.jp/article/44708053.html


美しい自然に恵まれた飯舘村が避難区域となる悲しい現実。
飯館村は「までいの力」で村おこしを進めてきた矢先でした。
「までい」とは漢字で「真手」、意味は「心をこめて」「手間ひまを惜しまず」。
事故前から出版が進められていた「までいの力」の収益は飯舘村の復興に回ります。
http://www.saga-d.co.jp/


50基以上の原発がある我が国では、将来私たちの住む場所が避難地域となるのは他人事ではありません。
テレビでは報道しない辛い現実を直視して身近な話題にすることはとても大切なことです。




  霊峰富士の柿田川湧水




アレクセイと泉オフィシャルサイト
http://movies.polepoletimes.jp/alexei/